「自分の死に意味を持つ」ことを考える:特攻の島1 Kindle版を読んで
みなさん、こんにちは。人生100年時代の哲学を考察する Life100年研究所の 加藤 虎之介 です。
今回ご紹介する作品は、「 特攻の島1 Kindle版 」です。
◇◆「自分の死に意味を持つ」ことを考える◆◇
太平洋戦争末期の人間魚雷にまつわる物語でした。
実際の戦争を扱っているためか、画に緊迫感がみなぎっており読み進めるのが少し怖くなりました。
しかし、当時の日本の民衆が置かれた状況も上手く表現されており(特に、貧しい少年が非国民扱いを受けたため社会の同調圧力に屈してしまう)ところは、読みながら胸が痛くなりました。
作者の同情ではなく、主人公たちが国家の安全と己の生と死を冷徹に見続ける姿をみて、だらだら過ごすことが如何に人生において無駄なのかと考えさせられました。
当時の若者たちが、国を守る=大事な家族を守るという強い思いを胸に抱きながら「特攻」という手段を選んだことが崇高に思えました。
「特攻」を美化するのではなく、そうせざるを得なかった社会は理解し認識すべきだと改めて認識させられました。
主人公渡辺と上官の仁科中尉のやり取りには、鬼気迫るものがあります。
渡辺:俺には何もありません、、、生きる理由も、、、死ぬ理由も、、、、
このまま死んだように生きたくはありません、、、
ここで命を燃やします、、、
(中略)
仁科中尉:訊かせてくれないか、、、?
この兵器で貴様達を死なせる事に、、、本当に意味はあるのか、、、、?
(中略)
渡辺:中尉は自分が回転で出撃する事には 疑問はないのですか、、、?
仁科中尉:ない
自分が乗れない兵器など 開発すべきではない、、、
渡辺:ならば 個人の問題です、、、
たとえ どんな死に方であろうと、、、
自分の死に意味が持てるかどうかは 個人の問題にすぎません、、、
仁科中尉:つまり貴様はどうだと言うのだ、、、?
渡辺:だから、言ってるではありませんか、、、
ここで命を燃やします、、、
仁科中尉:何のために、、、?
渡辺:俺自身の人生を、、、
俺のものにするためです、、、、!!
ここで1巻は終わるのです。
「自分の死に意味を持つ」という思想は衝撃でした。
ただ漫然と100歳まで生きたい、生き延びたいと思っていた私には思い浮かびませんでした。
もちろん、子や孫(まだ見ぬ者ですが)に少しばかりのお金を残して死にたいとは漫然と思っていました。
如何に浅はかか思い知りました。恥ずかしいです。もっと、もっと「自分の死」を考えなければと反省させられました。
太平洋戦争当時と違って、日本は長寿を謳歌できる素晴らしい社会になりました。
そのことが却って、「自分の死」に真摯に向き合うことが困難な社会環境になったのかもしれません。
今一度、「生きる」という事を考えるためにも次の2巻を読みます。
また、読み終わったらブログで報告します。
では、またお逢いしましょう。
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佐藤秀峰(著)2013年
内容紹介
「生還を期さない兵器」特殊兵器への志願を問われた時、少年たちが受けた説明はそれだけだった。様々な憶測が飛び交う中、志願した少年たちはある島へと送られる。その島で少年たちが見たものは…!
筆者のお勧め度は、下記の通りです。
お勧め度
総合ランク ★★★★☆ (4.0)
万人受け ★★★☆☆ (3.0)
哲学的度合い ★★★★★ (5.0)
*(注意)
(哲学度合いというのは、筆者的に人生訓を得れるかどうか考えられたのか否かを個人的ポイントに表しています)
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